スイスの高級時計メーカーであるタグホイヤーは、高性能かつ100万円以下の価格帯で購入できることが多いため、老若男女問わず幅広い層から支持を得ています。
タグホイヤーの時計を長く使い続けるには、定期的にオーバーホールをすることが重要です。しかし、実際にオーバーホールを依頼する際、どの程度の費用や時間がかかるか分からない方もいるでしょう。そこで、当記事ではタグホイヤーの時計をオーバーホールに出す頻度や、依頼した際にかかる費用や時間を詳しく解説します。
そもそもオーバーホールとは?
オーバーホールとは、時計の内部を部品単位まで分解し、注油や洗浄、組立、調整、実測などを行うメンテナンス方法のことです。
時計は、使い続けると内部の部品が消耗し、部品同士の摩耗を防ぐための潤滑油が油切れを起こすことがあります。時計をメンテナンスせずに使い続けると、複数の部品に不具合が生じたり、内部にホコリやチリが溜まりすぎて故障したりする可能性もあります。
大切な時計をベストな状態で使い続けるためには、外見からでは分からない不具合を見つけられるオーバーホールを定期的に行うのがおすすめです。
タグホイヤーの時計とは?
高級時計ブランドの中でも高い知名度を誇るタグホイヤーは、1860年にエドワード・ホイヤーによって創業されました。1887年には、後にクロノグラフの基礎にもなる「スイングオピニオン」を開発して特許を取得するなど、技術力の高さで今日までスイスの時計業界を牽引してきました。
1880年以降はスポーツ競技の普及に合わせてさまざまな技術革新を行い、特にモータースポーツの分野において固たる地位を築いています。
創業当時からのスピリッツを受け継ぎ、技術革新を重ねてきたタグホイヤーから生み出された時計は、高い時間計測の精度とスタイリッシュさを兼ね備えている点が特徴です。スポーツと縁が深いブランドではあるものの、現在では幅広い年代に合わせた多種多様なデザインの時計も取り揃えています。
タグホイヤーの時計をオーバーホールに出す頻度や期間
時計をオーバーホールに出すタイミングは、一般的に機械式で3〜5年、電池で動くクォーツであれば5〜7年が目安と言われています。
タグホイヤーの腕時計には100以上の部品が含まれており、非常に複雑な構造をしているのが特徴です。そのため、タグホイヤーの腕時計の場合は、機械式で4〜5年、クォーツ式で7〜8年使用したタイミングでのオーバーホールが推奨されています。
長期間使用していない場合でも、時計の内部の部品が摩耗したり潤滑油が劣化したりしているため、推奨された年数に合わせてオーバーホールを行うようにしましょう。
タグホイヤーのオーバーホールはどこでできる?
タグホイヤーの時計をオーバーホールする際、どこに持って行くべきか分からない人も多いでしょう。
基本的に、時計のオーバーホールは正規の販売メーカーや時計修理業者、家電量販店で受け付けており、それぞれにメリットとデメリットがあります。
以下では正規メーカーと時計修理業者、家電量販店の特徴について解説するため、タグホイヤーの時計のオーバーホールを検討している方はぜひ参考にしてください。
正規メーカー
タグホイヤーの時計をオーバーホールに出す際、安心かつ確実に依頼できるのが正規メーカーです。
正規メーカーでは、自社製品に精通した専門の時計職人がオーバーホールを行います。そのため、特殊な時計でも対応可能なことが多い点や、修理時に純正パーツを使用する点は正規メーカーの大きなメリットと言えます。
また、オーバーホール後に保証がつく点も正規メーカーならではの特徴です。タグホイヤーの場合は、2年間のサービス保証が適用されます。
一方で、正規メーカーへ依頼する際は、修理から受け取りまでの時間が長くなるケースが多い傾向です。また、正規メーカーには高い技術力や設備を兼ね備えていますが、その分料金が高額になることも覚えておきましょう。
時計修理業者
時計修理業者にオーバーホールを依頼する最大のメリットは、料金の安さです。メーカーによっては、正規メーカーに依頼した際にかかる料金の半分で済むこともあります。
時計修理業者にオーバーホールを依頼した場合の費用相場は、クォーツ式で約15,000〜35,000円程度、機械式で約20,000〜70,000円程度です。詳細な金額は時計の種類や使用状況によって変わるため、費用を知りたい場合は見積もりを依頼しましょう。
また、納期が早い点も時計修理業者にオーバーホールを依頼するメリットの1つです。正規メーカーのオーバーホールの納期は1~2か月程度が一般的ですが、時計修理業者であれば2~3週間程度で対応してくれるケースもあります。できるだけコストを抑え、かつ早期にオーバーホールを終えたい方には時計修理業者がおすすめです。
一方で、時計修理業者によっては対応できない時計モデルがあったり、交換の際に社外品のパーツを使用したりする可能性があります。
また、スタッフによって技術力に差がある点や、保証期間もメーカーに比べて短い傾向にある点にも注意が必要です。時計修理業者にオーバーホールを依頼する際は、修理店の評判や対応可能な内容などを事前に調べておきましょう。
家電量販店
時計を扱っている家電量販店の中には、民間の時計修理専門店に委託する形で修理を受け付けている店舗もあります。
家電量販店でオーバーホールをしてもらうメリットは、費用がポイントサービスの対象になる点です。ポイントが付与される分、お得にオーバーホールを依頼することができます。しかし、中には時計修理技能者が常駐していない店舗もあるため、タグホイヤーなどの精密な高級時計のオーバーホールを依頼する際は事前に確認が必要です。
また、修理内容によってはメーカー修理が必要となり、お店がメーカーとの窓口になることで手数料が上乗せされるケースもあります。その結果、修理費用が高額になることがある点にも注意しましょう。
タグホイヤーの時計をオーバーホールしたほうがよいケース
時計を良好な状態で長く使用するには、定期的にオーバーホールをすることが大切です。しかし、時計に異変を感じた時は、オーバーホールのサイクルとは関係なく、早めに修理を依頼したほうがよい場合もあります。
ここでは、タグホイヤーの時計をオーバーホールしたほうがよいケースについて解説します。
ガラスが曇る頻度が高くなったとき
腕時計は、外部との気温差によって内部が結露することがあります。外部との気温差のほか、時計のガラス面にできた傷や亀裂、パッキンが劣化してできた隙間も結露が発生する原因です。
時計の内部が結露した場合、ガラス面が曇ることがあります。曇った状態が続くと時計内部に水分が侵入し、金属部品の錆や針の腐食を引き起こします。水分や湿気は故障の原因になるため、タグホイヤーの場合も、ガラス面が曇る頻度が高くなったと感じたら早めにオーバーホールを依頼しましょう。
時計から音がするとき
機械式時計を振った時に時計内部から音がする場合は、内部の部品やネジが外れている可能性が高いです。タグホイヤーの時計には100個以上の部品が含まれていますが、落下の衝撃などで内部のパーツが外れてしまうことがあります。
購入時やオーバーホール後は、ネジがしっかり締まっているために部品が外れるケースは少ないものの、年数が経過するほどネジが緩んでパーツが外れることが多い傾向です。
外れたネジや部品が歯車の隙間などに入り込むと故障の原因となり、最悪の場合は修理できない状態になるケースも考えられます。タグホイヤーの腕時計を使用していて異音がする場合は、早めにオーバーホールしましょう。
時間がずれるとき
時計の時間がずれるのは、珍しいことではありません。タグホイヤーの時計も例外ではなく、電波時計などの定期的に時刻を補正する機能がない時計の場合は、使い続けることでどうしても時刻のズレは生じます。
しかし、時間のずれがどんどん大きくなる時は注意が必要です。時計内部の油が劣化して歯車の動きが悪くなっていたり、部品の磨耗によって時刻を動かす仕組みに異常が生じたりする場合があります。
特に、長期間オーバーホールをしていない時計はトラブルが起こりやすいため、時間のずれが気になる場合はオーバーホールを検討しましょう。
まとめ
長い歴史の中で、技術革新を続けながら独自のスタイルを築き上げてきたタグホイヤーの時計は、性能やデザインなどのバランスのよさとコストパフォーマンスの高さが魅力です。そして、タグホイヤーの時計の性能をベストな状態で維持するためには、定期的にオーバーホールをする必要があります。
正規メーカーや時計修理業者、家電量販店などの中からメリットデメリットを比較検討し、メーカーが推奨する期間に合わせてオーバーホールを依頼しましょう。また、時計内部から音がするなどの異常がある場合は、早めのオーバーホールをおすすめします。