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高級時計は故障しやすい?故障させる悪習慣や操作禁止時間帯も解説

2023.05.10
お手入れ・取扱
高級時計は故障しやすい?故障させる悪習慣や操作禁止時間帯も解説

高級時計は金額が高いため、「壊れにくい」というイメージを持つ方も多いでしょう。しかし、高級時計の多くは機械式時計であり、湿気や衝撃などによって故障しやすい点に注意が必要です。

高級時計を長期間使い続けるためには、適切な取り扱い方を理解しておく必要があります。当記事では、高級時計が壊れやすいと言われる理由をはじめ、故障の原因となる悪習慣を詳しく解説します。使用している高級時計を長く使い続けたい方はぜひご一読ください。

高級時計は機械式のものが多く故障しやすい

高級時計には機械式のものが多く、故障しやすいと言われています。

機械式時計とは、ゼンマイを動力として動く伝統的な時計です。ゼンマイの巻き方は、リューズを手で巻く「手巻き式」と、内部機械に搭載されたローターによってゼンマイを巻き上げる「自動巻き式」の2通りがあります。

高級時計は、高ければ高いほど壊れにくいということではありません。機械式の腕時計は100以上の部品が組み合わさっており、それぞれの部品が正確に動くことで時間を刻みます。内部は複雑でデリケートな作りになっているため、取り扱いには特に注意が必要です。

高級時計を故障させる悪習慣4つ

高級時計は精密機械のため、適切に扱わなければ故障リスクが高まります。高級時計を長く大切に使うなら、普段から扱い方に注意しましょう。

ここからは、高級時計を故障させる悪習慣を4つ紹介します。

着用したまま入浴・シャワーをする

入浴・シャワーによる高級時計の故障原因としては、湯気がムーブメント内部に侵入し、パーツのサビやゆがみを発生させることが挙げられます。また、時計の防水のためのパッキンは消耗品であり、経年劣化によって防水効果がなくなっていきます。高級時計を大切に使い続けたい場合は、水が触れる場所での使用には注意しましょう。

また、高級時計をはじめ、腕時計には防水性能に優れたモデルが多く存在します。しかし防水時計であっても、着用したまま入浴したり、シャワーを浴びたりすると故障につながる可能性が高いため注意する必要があります。防水性能が高い時計でも、構造上「熱」にはあまり強くないためです。

湿気によるトラブルを避けるためにも、入浴・シャワーの際は必ず腕時計を外しておきましょう。

磁気の近くに置く

「磁気帯び」も、高級時計が故障する原因の1つです。磁気帯びとは、磁気を持ったものの影響を受けて時計の精度に影響が出ることで、特に機械式時計は磁気の影響を受けやすいため注意が必要です。

スマートフォンやパソコン、家電、ハンドバッグのマグネット部分など、磁気が発生しているものは身の回りに多くあります。磁気を持つもののそばに高級時計を置くと、精度に影響が出たり、最悪の場合故障したりすることもあるため注意しましょう。

高級時計を磁気帯びさせないためには、磁気の発生源から5cm以上離して使用・保管するのがおすすめです。

着用したままスポーツをする

腕時計は精密機械のため、着用したままスポーツすると衝撃によって故障する可能性があります。高級時計にはスポーツモデルも存在しますが、実際に着用したままスポーツをするのはおすすめできません。

スポーツモデルの腕時計は多少衝撃に強い作りになっています。しかし、スポーツをする中で時計本体が衝撃を受けた場合、外装のキズや割れはもちろん、内部のパーツにも大きな影響が及ぶ恐れがあります。

スポーツをする際は、耐久性に関係なく必ず時計を外しておきましょう。

クロノグラフを多用する

クロノグラフとは、ギリシャ語で時間を意味する「クロノス(chronos)」と、記すという意味を持つ「グラフォス(graphos)」の2つを組み合わせた言葉です。クロノグラフは経過時間などを測定できる機能で、モデルによっては距離や脈拍を計測できるものもあります。

クロノグラフはゼンマイによる動力を利用しているため、頻繁に使用するとゼンマイの巻き上げ回数が増え、関連部品の劣化を早める原因になります。部品の消耗は腕時計の寿命を縮める原因にもつながるため、クロノグラフは必要なときにのみ使用しましょう。

カレンダー機能がついた高級時計には「操作禁止時間帯」がある

高級時計にはカレンダー機能が付いたモデルも多く存在しますが、カレンダー操作をしないほうがよい「操作禁止時間帯」があることも押さえておかなければなりません。

カレンダー機能がついた高級時計には、内部に「日付ディスク」と呼ばれるプレートと、「日送り車」と呼ばれる歯車が存在します。カレンダー機能は、日送り車のツメが、日付ディスクの内周にある突起に引っかかることで日付変更が可能となる機構です。

しかし、日付ディスクと日送り車のツメの距離が非常に近くなったタイミングでカレンダー機能を操作すると、ツメにかかる負担が大きくなります。その結果、ツメが折れるなどの故障につながります。

ムーブメントによっては、操作禁止時間帯に一度カレンダー操作をしただけで故障することもあるため注意が必要です。

具体的な時間帯

高級時計の具体的なカレンダー操作禁止時間帯は、ほとんどの場合20時から翌朝4時頃です。ただし、詳しい操作禁止時間帯はメーカーやモデルによって異なるため、カレンダー操作をする際は取扱説明書を確認しておきましょう。

文字盤のカレンダーは午前0時過ぎには日付が変わりますが、時計内部では20時頃から翌朝4時にかけてゆっくりと日付が変わっています。つまり、20時から翌朝4時頃まではカレンダーが自然に動いている状態です。この時間帯にカレンダー機能を人的に操作すると、カレンダーを動かす力が二重に加わることになるため、パーツの故障につながります。

禁止時間帯にどうしてもカレンダーを操作したい場合

基本的には20時から翌朝4時頃が時計のカレンダー機能の操作禁止時間帯となるものの、操作禁止時間帯はリアルタイムではありません。操作禁止時間帯は、あくまで時計の針が指している時間帯のことです。

操作禁止時間帯にどうしてもカレンダーを操作したい場合は、あらかじめ針を動かしておくことで夜間・早朝でも操作が可能になります。

カレンダー操作のために時計の針を動かす場合は、午前・午後のいずれも操作禁止時間帯に含まれていない「6時」に針をセットするのがおすすめです。

高級時計を故障させないためには定期的なメンテナンスが大切

高級時計を長く使い続けるなら、故障につながるような悪習慣を避けるのはもちろん、定期的なオーバーホールが不可欠となります。

オーバーホールとは、腕時計のメンテナンスのことです。オーバーホールでは、時計のすべての部品を分解し、古くなった油の洗浄、劣化した部品の交換、組み立て、注油、実測、検品などを行います。オーバーホールを行うと時計は新品同様の状態になるため、高級時計の寿命を延ばすためには定期的な実施が不可欠と言えるでしょう。

機械式時計のオーバーホールの期間は時計の使用状況によっても異なるものの、一般的には3〜5年に1回程度が目安とされています。使用頻度が低い高級時計であっても3〜5年に1回程度オーバーホールに出すことで、劣化や故障のリスクを下げられます。

また、オーバーホールのタイミングではない場合でも「時計から異音がする」「時間が大幅に遅れる」などの異変があれば早めに修理店へ相談するのがおすすめです。

まとめ

多くの高級時計にあてはまる機械式時計は、内部に100以上にもおよぶ部品が精密に絡み合っているため故障しやすい傾向にあります。大切な高級時計を扱う際は、湿気や磁気、衝撃など、故障の原因になるものには特に気をつけましょう。また、カレンダー操作が搭載されている高級時計は操作禁止時間帯にも注意が必要です。

愛用している高級時計を長く使い続けたい場合は、定期的なオーバーホールが必須です。オーバーホールの期間以外でも、時計に異常が見られた場合には早めに修理業者へ相談しましょう。


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