クォーツ式時計が故障した際、修理ができるか分からない方も多いのではないでしょうか。特に、表示される時間にズレが生じたり、動かなくなったりした場合には早めの対処が必要です。また、クォーツ式時計を長持ちさせるためには定期的なメンテナンスが欠かせません。
今回は、クォーツ式時計の魅力や修理に出すタイミング、長く使い続けるために気を付けたいポイントを解説します。大切な時計を長く使いたい方、メンテナンス方法が知りたい方はぜひご覧ください。
クォーツ式時計とは?
時計内部の動力機構部分(ムーブメント)には大きく分けて「機械式」と「クォーツ式」の2種類があり、主な違いは以下の通りです。
- クォーツ式:電池と電子回路を動力源として針が動く仕組み
- 機械式:ゼンマイを動力源として針が動く仕組み
今回は、1969年に誕生して以来、高い需要を誇るクォーツ式時計の特徴について紹介します。まずは、クォーツ式時計の基礎知識として魅力と寿命を確認しましょう。
クォーツ式時計の魅力
クォーツ式時計は、多くの時計メーカーの主力商品として世界中で愛されています。ここでは、クォーツ式時計がなぜ人気なのかを4つの魅力に分けて解説します。
・手頃な価格で購入できる
機械式時計は高価なものが多い一方で、クォーツ式時計は比較的安価な料金設定が魅力です。1,000円前後の時計をはじめ、人気ブランドのクォーツ式時計でも10万円以下で手に入るモデルもあります。
・精度が高い
クォーツ式時計の月差は±20秒程度であり、機械式時計と比較すると30倍以上も精度が高いことが特徴です。また、クォーツ式時計を世に生み出したセイコーでは、年差±10秒という驚くべき精度を誇るモデルも販売されています。
・機械式時計に比べ、磁気や衝撃に強い
機械式時計は繊細な構造をしており、磁気を帯びたり衝撃を受けたりすると故障や破損しやすいというデメリットがあります。一方で、クォーツ式時計は比較的磁気にも強く、耐久性もあり、長く使えることが大きなメリットです。
・メンテナンスの手間がかからない
モデルにもよりますが、クォーツ式時計は機械式時計よりもメンテナンスの手間がかかりません。一般的に、機械式時計のメンテナンスは早い場合で3年に1度程度なのに対し、クォーツ式時計のメンテナンスは5年に1度程度です。
クォーツ式時計の寿命
クォーツ式時計は、定期的に電池を交換することで長く愛用できます。しかし、内部の電子回路には寿命があるため注意が必要です。メーカーやモデルにもよるものの、クォーツ式時計の寿命は10年程度です。
基本的に、時計メーカーが電子回路の部品を保有している限りは修理に対応してもらえます。メーカーによって部品の保有期間が異なり、セイコーは通常7年、ロレックスは25年、シチズンは7〜10年です。クォーツ式時計を長期で愛用したい場合は、事前に購入メーカーの部品保有期間を確認した上で選ぶとよいでしょう。
クォーツ式時計を修理に出すタイミングは?
クォーツ式時計を長く使うためには、普段のお手入れに加え、タイミングを見ながら修理に出すことが大切です。具体的には、以下のようなときに修理を依頼する必要があります。
- 時計がうまく機能しなくなったとき
- オーバーホールの時期
ここでは、クォーツ式時計を修理に出すタイミングについて詳しく解説します。
時計が故障したとき
クォーツ式時計が動かなくなったり遅れたりする原因は、以下の通りです。
・電池
時計の電池切れを交換せずに放置しておくと、内部パーツに液漏れして故障の原因になります。時計コレクターの方は、普段使用しない時計に関しても、定期的に電池交換の必要がないかを確認するのがおすすめです。
・電子回路
クォーツ式時計は電池が動力のため、内部には多くの電子部品が設置されています。経年劣化による錆びや回線不良が、故障の原因になることもよくある事例です。
・歯車
時計内部には時を刻むための歯車がセットされており、錆びやホコリ、摩耗などによってかみ合わなくなるケースがあります。その結果、時刻が狂ったり止まったりなどのトラブルを引き起こしやすくなります。
・針
外部からの衝撃により、時計の秒針や分針などの針にズレが生じることも少なくありません。人とぶつかったり時計が落下したりして針がずれ、修理が必要になる例も多く見られます。
・油
時計の歯車をスムーズに動かすには潤滑油が欠かせません。長期間使用していると油が切れる他、油が固まることでもトラブルが発生します。
いずれの原因にせよ、クォーツ式時計が故障した際には、早急に時計修理店に相談することをおすすめします。
オーバーホールを依頼するとき
時計を長く愛用するためのメンテナンスを、「オーバーホール」と呼びます。オーバーホールで行うことは、以下の通りです。
- 時計の分解
- 時計の調整
- 部品の交換
- 古い油の除去
- 注油
- 時計の洗浄
オーバーホールには高い技術力が必要です。知識や経験の豊富な時計職人やメーカー認定の専門店などによって実施され、時計を新品に近い状態にするための調整が行われます。
クォーツ式時計は、機械式時計ほど内部の部品が多くないため、頻繁にオーバーホールを行う必要はありません。しかし、よい状態を保つために5年に1度程度はオーバーホールで定期的なメンテナンスを行うことをおすすめします。
クォーツ式時計を長く使い続けるには?
クォーツ式時計は電子回路を使用する構造上、機械式時計に比較すると寿命は長くありません。しかし、適切な使用・保管方法に加え、定期的なオーバーホールを行うことで長期的に使用できます。
ここでは、クォーツ式時計を長く使い続けるためのポイントを解説します。
磁気の近くに置かない
クォーツ式時計は磁気に強いと言われているものの、まったく影響がないわけではありません。デジタルの場合は気にする必要はありませんが、アナログのクォーツ式時計は注意が必要です。時計に磁石を近づけると時計内部に滞留してしまう事があり、時間が止まったり遅れたりなどの不具合を起こす可能性があります。
たとえば、以下のような電化製品は磁力が強いことが特徴です。
- 電気カミソリ
- ヘアドライヤー
- 大型スピーカー
- 電気毛布
- 磁気アクセサリー
- パソコン
- スマートフォン
大切な時計を守るためにも、磁気の近くにクォーツ式時計を置かないよう意識しましょう。
湿気や水気に注意する
腕時計にとって湿気や水気は大敵です。湿度が高くなると内部に結露ができてしまい、放置すると針がダメージを受けて機能しなくなる他、文字盤が錆びてしまうケースも少なくありません。また、回路がショートする可能性もあるため、湿気や水気を避けることが大切です。
具体的には、湯気がこもりやすいバスルームをはじめ、キッチンなどもお湯を沸かしたり調理したりしていると湿度が高くなります。防水機能が備わっている時計でも、結露を確認した場合はオーバーホールを検討することをおすすめします。
定期的なお手入れをする
クォーツ式時計を長く使うための一番のコツは、定期的なオーバーホールと合わせて、日頃からお手入れをすることです。ブレスレットやストラップを綺麗に保つ方法は、以下を参考にしてください。
・金属製ブレスレット
静電気が起こりにくいセーム革やマイクロファイバーなどのクロスを用いて、傷をつけないように丁寧にブレスレット部分を拭き取ります。隙間の汚れは、ソフト仕様の歯ブラシなどを使って掃除するとよいでしょう。
・革バンド
汗や湿気は柔らかいクロスで優しく拭き取ります。必要に応じて専用の消臭スプレーを吹きかけ、しっかりと自然乾燥させることがポイントです。
他にも、ガラス部分は必ず乾いたクロスを使って拭き、ネジや刻印などの細部までお手入れをすることがおすすめです。
まとめ
クォーツ式時計を長く愛用するには、定期的なメンテナンスをプロに依頼するのがおすすめです。クォーツ式時計は、自分次第で想像よりも長く愛用できる時計と言えます。自分でできるお手入れも欠かさず、プロにメンテナンスを依頼してクォーツ式時計を長持ちさせましょう。
クォーツ式時計が故障する原因はさまざまですが、うまく機能しなくなった場合には早めに修理を依頼することが大切です。故障の原因を自己判断して対処すると、必要以上に時間と費用がかかる恐れがあります。クォーツ式時計に関する正しい知識を理解して、修理やメンテナンスの依頼を検討してください。